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最高裁判所第三小法廷 昭和42年(あ)2685号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人古川公威の上告趣意は、単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない。なお、商品仲買人の従業者が商品取引所法(昭和四二年法律第九七号による改正前のもの、以下同じ。)九一条一項に違反する行為をしたときは、その従業者は同法一六一条一号、一六三条によって処罰されることになるものと解すべきであるから、右一六三条の適用を示さなかった本件第一審判決を認容した原判決には法令の適用を誤った違法があるといわなければならない。しかし、右違法は判決に影響なく、刑訴法四一一条により原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない(当裁判所昭和二八年(あ)第五一三三号同三〇年一〇月一八日決定、刑集九巻一一号二二五三頁参照)。また、そのほかに、同法四一一条を適用すべき事由は認められない。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)

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